KSFとは?KGI・KPIとの違いや分析方法、設定例を紹介
それでは、「KSFとは何か」について解説します。
KSFとは
KSF(Key Success 分析方法も解説 Factor)は「重要成功要因」と訳され、事業を成功させるために必要な要因を指します。
KSFは、市場の動向や競合の参入・撤退などの外部要因と、自社の強みや後述するKGI(最終目標)達成に必要な要素などの内部要因の2つです。
外部環境分析から外部要因を、内部環境分析から内部要因を明確化します。
KSFと似ている用語には、CSF(Critical Success Factor)などがあります。
KSFがなぜ必要か
KSFとKGI・KPIとの関係
KSFと似た言葉に、KGIやKPIがあります。
同じようなアルファベットの略称なので区別しづらいですが、事業目標を達成するうえで、KGI・KPI・KSFの各内容と3つの関係を理解することは重要です。
KGIとは
KGIは、抽象的な目標ではなく、具体的な数値での設定が大切です。
たとえば、ECサイトでの売上増加に対するKGIを設定する場合、単なる「売上アップ」ではなく、「半年以内に単月の売上2,000万円を達成」など具体的に設定します。
KPIとは
KPI(Key Performance Indicator)とは「重要業績評価指標」などと訳され、KGI達成に必要となる、各プロセスの目標を数値化した指標を指します。
KPIは、特にWebマーケティング・営業などで用いられるケースが多いです。
KSFとKGI・KPIとの関係
KGI:2ヶ月で3kg減量
KSF:「運動」「食事制限」など
KPI:
・毎日40分ウォーキングする(運動)
・1日1600kcalの摂取に抑える(食事制限) など
KSFの設定例
KSF分析のためのフレームワーク5選
KSFの抽出・選定においては、フレームワークによる分析が有効です。
ここでは、一般的に用いられることが多いフレームワーク5選を紹介します。
3C分析とは、次の3つの視点をもとにKSFを抽出するフレームワークです。
- Customer(顧客・市場):顧客層や顧客ニーズなど
- Competitor(競合):競合他社の現状や市場シェアなど
- Company(自社):自社の強みや弱み、評価など
3つの頭文字「C」を取って、3C分析と呼ばれています。CustomerとCompetitorは外部要因、Companyは内部要因です。
まず、Customer(顧客・市場)分析を行い、どのような人が顧客ターゲットなのか、顧客ニーズにはどのようなものがあるのかといった、顧客層・顧客ニーズ、市場動向・環境などの現状や変化を把握します。
この分析で、KBF(購買決定要因)の抽出が可能です。
次に、Competitor(競合)分析を行い、競合他社の現状や市場シェア、強みや弱み、受けている評価、顧客ニーズへの動向などを把握します。
その後、Company(自社)分析を行って、自社の強みや弱み、どのような評価を受けているかなど、現状の把握と競合との比較を行います。
5F(Five Forces)分析とは、次の5つの視点をもとにKSFを抽出するフレームワークです。
- 新規参入の脅威
- 代替品の脅威
- 売り手の交渉力
- 買い手の交渉力
- 競合他社との敵対関係
新規参入・代替品の脅威は外部要因、それ以外は内部要因です。
外部要因として、新規参入の脅威には、法改正や規制整備、技術革新、経済成長率の低下など、新規参入するうえでの脅威が挙げられます。
代替品の脅威として挙げられるのは、代替品になり得る商品やその価格、提供価値などです。
内部要因として、売り手の交渉力には企業数や力関係といったサプライヤーの現状など、買い手の交渉力には販売業者数などの、各交渉力の強化により利益低下につながる脅威が挙げられます。
競合他社との敵対関係として挙げられるのは、競合や業界の現状など、競争関係の激化につながる要素です。
5F分析によって、業界における現状の明確化や、自社の「機会」と「脅威」の分析ができ、業界における差別化を保てる地位獲得のためのKSFを抽出します。
SWOT分析
- Strength(強み)
- Weakness(弱み)
- Opportunity(機会)
- Threat(脅威)
4つの頭文字「S・W・O・T」を取って、SWOT分析と呼ばれています。StrengthとWeaknessは内部要因、OpportunityとThreatは外部要因です。
まず、外部要因のうち、自社にとってプラスとなるOpportunity(機会)、マイナスとなるThreat(脅威)を分析します。
機会や脅威として挙げられるのは、技術革新による変化や経済情勢、ビジネスチャンスまたは危険要素になり得る環境変化や、競合の参入や撤退といった動向、顧客層やニーズの変化などです。
次に、内部要因のうち、自社にとってプラスとなるStrength(強み)、マイナスとなるWeakness(弱み)を分析します。
強みや弱みとして挙げられるのは、商品・サービス力、技術力や運用経験、情報のアピール方法、競合と比較した強みや弱みなどです。
PEST分析
PEST分析とは、次の4つの視点をもとにKSFを抽出するフレームワークです。
- Politics(政治的要因)
- Economy(経済的要因)
- Society(社会的要因)
- Technology(技術的要因)
4つの頭文字「P・E・S・T」を取って、PEST分析と呼ばれています。すべて外部要因です。
Politics(政治的要因)では、法律や条例、税制や政権交代などの政治的要因が、自社にどのような影響を与えるかを分析します。
想定される例としては、薬事法や派遣法の改正など、業種によってはダイレクトに影響を受ける法改正においては、市場の勢力図が変わるタイミングでもあるため、早めの対応が必要などの分析結果です。
同様に、経済成長や株価・金利などのEconomy(経済的要因)、社会構造や消費行動などのSociety(社会的要因)、イノベーションや特許などのTechnology(技術的要因)を分析し、自社への影響を把握したうえでKSFの抽出につなげます。
バリュー・チェーン
バリュー・チェーンとは、企業の活動を、製造やサービスなどの「主活動」と、人事労務や技術開発などの「支援活動」に分け、どのプロセスでどのくらい「付加価値」が生じているかを明確化するフレームワークで、内部要因の分析に用いられます。
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