ダークプールとは何か?わかりやすく解説
通常の株式取引は、証券会社を通じて、東証などの証券取引所へ注文が執行されます。
そのため、取引参加者は板情報から注文状況などを把握することができます。
ですが、 ダークプールは証券会社内部で注文を付け合せて取引されるので、板情報から注文状況を把握することはできず、価格や数量などの流動性が外部から見えにくい仕組み となっています。
このように匿名性が確保されていることから「ダークプール(見えない流動性)」と呼ばれています。
ダークプールは、もともと機関投資家などが取引を行うために誕生した仕組みです。
機関投資家などは大口の注文を行うことも多いですが、それを証券取引所に出してしまうと市場に大きな影響を与えてしまいます。
例えば、大量の売り注文を出した場合、株価が下落するリスクが生じてしまうわけです。
そういうリスクを回避する目的や、市場に影響を与えずに売買するためにダークプールが利用されていました。
・ダークプールとは証券会社内部で顧客同士の注文を付け合せて行う取引のこと
・ダークプールの特徴は匿名性が確保されていること
・価格や数量などの流動性が外部から見えにくい仕組みとなっている
・もともとは機関投資家などに利用されていたが、現在は個人投資家向けのダークプールも広がっている
ダークプールとPTSの違い
ダークプールとPTSは、 東証などの証券取引所を通さずに取引をするという共通点 もありますが、明確な違いもあります。
それは 外部から注文状況が見えるかどうか という点です。
ダークプールのメリット
・有利な条件で売買できる可能性がある
・手数料が安くなる可能性がある
有利な条件で売買できる可能性がある
一般的な株価は、東証などの証券取引所の価格をもとにしていますが、株価の形成は取引をする場所(証券取引所、PTS、ダークプール等)ごとに行われています。
そのため、 東証は3,000円、ダークプールは2,980円といったように価格差が生じる こともあります。
例えば、上記価格のときにダークプールで100株の取引が成立した場合、 東証のみで取引するよりも「2,000円(差額20円×100株)」安く株を購入できた ことになります。
このようにダークプールを利用することで、有利な条件で売買できる可能性があるのです。
基本的にダークプールは、SOR注文(松井証券は執行条件「最良」を選択)による取引が対象となっており、ダークプールのみを指定した発注はできません。
つまり、SOR注文を利用し、有利な条件にある場合のみダークプールで約定する仕組みとなります。
手数料が安くなる可能性がある
例えば、 SBI証券のダークプールでは、ランクに応じて手数料が割引される仕組み ダークプールの定義 となっています。
最上位の「プラチナ」ランクの場合は、現物スタンダードプラン手数料の100%割引となっているため、手数料が無料になります。
ダークプールのデメリット
・利用条件がある
・成功報酬がかかる
利用条件がある
利用条件の内容は、証券会社によって違いはあるものの、 「現物取引の投資経験が1年以上」という条件が設けられていることが多い です。
成功報酬がかかる
例えば、松井証券では「改善約定代金×30%」の手数料がかかります。
改善約定代金は、簡単に言うとお得に取引できた差額のことです。
ですから「5,000円×30%」で1,500円の成功報酬がかかることになります。
ダークプールを利用できる証券会社
・SBI証券
・楽天証券
・マネックス証券
・松井証券
上記は ダークプールを利用できる一部の証券会社 となります。
SBI証券のダークプール
SBI証券のダークプールは、SBIプライム証券が提供するマッチングシステムを用いたもので、サービス名称は「SBBO-X(SBI Best Bid Offer)」となります。
利用条件を満たした上で、申込を行うことで利用可能になります。
利用条件は「20歳以上かつ国内現物株式の取引経験が1年以上」となります。
楽天証券のダークプール
利用条件は「国内株式の投資経験が1年以上の方」もしくは「信用取引口座開設済みの方」となります。
マネックス証券のダークプール
利用条件は「信用取引口座開設済み」または「先物・オプション取引口座開設済み」となります。
松井証券のダークプール
利用条件は「20歳以上かつ現物株式の投資経験が1年以上」となります。
「2019年2月2日以降に口座開設し、現物取引の投資経験が1年以上あることを選択した場合」や「信用取引口座を開設済み」の方は利用申込することなく利用可能となります。
ダークプール取引とは?PTSとの違いや、使える証券会社をわかりやすく解説します
ダークプールとは、東証などの取引所を通さず、 証券会社が投資家同士の注文を付け合わせる(マッチング)取引 です。正式名称は「dark pool of liquidity」で、日本語に訳すと「見えない流動性」の意味です。 通常の株取引の場合は板情報で注文状況がわかりますが、ダークプールの場合は 投資家の注文価格や注文数量などの流動性が外部から見えず 、匿名性が確保されているため、このように呼ばれています。
2.ダークプールの特徴
3.個人投資家がダークプールを使うメリット
- 通常の取引よりも、 有利な株価 で取引できる可能性がある
- 売買手数料が優遇 される
3-1.通常の取引よりも、有利な株価で取引ができる可能性がある
<例>A社の株価
・東証 … 500円
・ToSTNeT … 490円
上記を見ると、東証よりもToSTNeT市場のほうが10円安いですね。株を買うのに100株必要だとすると、500円×100株=50,000円(東証)、490円×100株=49,000円(ToSTNeT)となり、その差額は 1,000円 になります。 ここから、マッチングの成功報酬として証券会社に一定金額を支払う場合もありますが、30%支払ったとしても700円分得したことになります。東証の株価のほうが安い場合もありますが、従来どおりの取引になるだけで、マッチングの成功報酬も発生しません。
もう一つ、取引所の多くは1円単位で売買されますが、ダークプールは 0.1円単位 で売買されます。売買単位が細かい分、取引所よりも有利な価格で取引できる可能性があります。
3-2.売買手数料が優遇される
ダークプールの手数料は、通常の株式売買手数料に対して、割引された手数料設定にしている証券会社が多いです(すべての証券会社で安くなるわけではありません)。 その理由は「ダークプールの特徴」でも少し触れましたが、ダークプールは取引所を介さないで売買するため、 証券会社が取引所に対して売買手数料を支払う必要がない からです。 その分、投資家に対して売買手数料を安く設定できます。証券会社側は売買手数料を安くしたとしても、メリット1でご説明したとおり、成功報酬が入るような仕組みにしておけば、投資家からの手数料をもっと引き下げられる可能性があります。
4.ダークプールが使える証券会社は?
現状、全ての証券会社でダークプールが使えるわけではありません。 2022年5月2日現在、ダークプールによるマッチングサービスを提供しているネット証券は、主に「SBI証券」、「松井証券」 、「auカブコム証券」、「SMART+」などです。 それぞれのサービスの違いをかんたんにまとめました。現状ですと、利用条件されクリアできれば、SBI証券が一番お得に取引できます。
ネット証券 (サービス名) | 手数料 | 成功報酬 | 利用条件 |
---|---|---|---|
松井証券 (ベストマッチ) | 通常と同じ | 差額の30% | ・現物取引の投資経験が1年以上ある人 |
SBI証券 (SBBO-X) | ランクに応じて変動 最大100%割引 | なし | ・20歳以上かつ国内現物株式の取引経験が1年以上ある人 |
auカブコム証券 ダークプールの定義 (SOR) | 通常と同じ | なし | ・以下のいずれかの取引経験が1年以上ある人 株式現物取引、株式信用取引、先物・オプション・FX |
SMART+ (SMART取引) | 無料 | 差額の50%相当 | ・特になし |
5.ダークプールとPTSの違いは?
ダークプールと似ている制度に「 PTS(私設取引) 」があります。PTSも、ダークプールと同じように東証などの取引所を通さず、証券会社(証券会社グループ)が独自に作った取引システムで取引がおこなわれます。ダークプールとの大きな違いは、投資家が 注文状況や株価を外から確認できる 点です。
6.ダークプールの利用手順は?申し込みは必要?
6-1.SBI証券(SBBO-X)の利用手順
SBI証券は、はじめだけ ダークプールの定義 登録が必要 です。登録後は、注文時に『 SOR 』を選ぶだけです(はじめから選ばれています)。
<登録手順>
口座管理 > お客さま情報 設定・変更 > お取引関連・口座情報 の「国内株式SBBO-Xサービス」で、設定状況『 変更 』をクリックし、注意事項を確認した上で設定してください。(※条件を満たしていない方は、『変更』ボタンが表示されません)
6-2.松井証券(ベストマッチ)の利用手順
松井証券は、申し込み・登録は 不要 です。注文時に、【執行条件】欄で『 最良 』を選ぶだけです(はじめから選ばれています)。
6-3.auカブコム証券(SOR)の利用手順
auカブコム証券は、はじめだけ 登録が必要 です。登録後は、注文時に『 SOR 』を選ぶだけです(はじめから選ばれています)。
<登録手順> ダークプールの定義
設定・申込 > ダークプールの定義 電子契約 > 「SOR取引・MSプール取引及びPTS取引約款」で、お手続き『 申込 』をクリックし、同意書を確認しながら進めてください。
6-4.SMART+(SMART取引)の利用手順
SMART+は、申し込み・登録は 不要 です。注文を出すと、東京証券取引所とダークプールの2か所のうち、有利な価格で取引できるほうへ自動的に注文が送られます。
やさしい株のはじめ方編集部
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