ボリンジャーバンドとは?見方とFX手法2つをプロが解説
鈴木拓也
ボリンジャーバンドとは
ボラティリティ(価格変動率)を示す標準偏差が利用されており、相場の方向性を示すだけでなく、ボラティリティの変化に応じてバンドが縮まったり広がったりして次の値動きを予想できる非常に優れたテクニカル分析ツールです。
鈴木拓也
ボリンジャーバンドは標準偏差のバンドで構成される
ボリンジャーバンドは一般的に現在レートの上に3つ、下に3つのバンドと、期間20の指数平滑移動平均線から構成されます。
±1σ、±2σ、±3σの標準偏差の意味は、以下の確率でレートがそれぞれのバンド内に収まるという意味です。
- 1σ=68.26%
- 2σ=95.44%
- 3σ=99.74%
しかし、ボリンジャーバンドで 逆張りは危険で誤った使い方 です。
それが、後ほど説明する「エクスパンション」と「スクイーズ」です。
ボリンジャーバンドの設定値
ボリンジャーバンドによる逆張りは危険
ここで、 単純にレートがバンドの上限に達したから売り、下限に達したから買い、と逆張りのトレードをすることは危険 です。
- ボリンジャーバンドとは、価格変動率の変化をバンドで示したもの
- 最もよく使われるバンドは±2σ
- ボリンジャーバンドを使った逆張りは危険
ボリンジャーバンドによるFXトレード手法2つ
ここからは、ボリンジャーバンドを使ったFXのトレード手法を説明していきます。
今までボリンジャーバンドを使っていなかった方も、この使い方を覚えておくだけで、トレードの勝率が劇的に向上しますよ!
- エクスパンションとスクイーズ
- ±1σを使ったトレード手法
手法1:エクスパンションとスクイーズ
ボリンジャーバンドを使ったトレード手法の中で、 最も有名で勝率が高いのが「スクイーズからエクスパンションが発生」する際のトレード です。
「スクイーズ」とは、下図のように上下のバンドの幅が狭くなっている状態のことです。相場はトレンドが出ていないレンジ相場であり、ボラティリティ(価格変動率)が小さい状態であることを示しています。
そして、上下のバンドの幅が急拡大している状態が「エクスパンション」です。
先ほど説明したように、スクイーズは次の爆発(レートが急に動き出す)前に相場がエネルギーを溜め込んでいる状態であり、ボリンジャーバンドでスクイーズが確認されたら、エクスパンションが起こる時を狙っていきます。
下図のチャートでは、最初、長いスクイーズの後、何かの拍子に拮抗が破れ、レートが急落しています。この時、ボンジャーバンドは上下にバンドが拡大していますので、このままレートが走る可能性が高く、ローソク足がバンドの外でクローズしたのを確認して、(1)で売りエントリーします。
そして、利益確定のタイミングは、バンドの反対側に着目し、反対側のバンドが反転したのを確認して利益確定をします。
なぜなら、 バンドが急拡大することは、ボラティリティが上昇しているので一気にレートがその方向に加速する可能性を示唆 していますが、バンドが縮むということはボラティリティが低下し、一旦そのトレンドの勢いが弱まる可能性を示しているからです。
- スクイーズから、エクスパンションが発生するタイミングを狙う
- エクスパンションでローソク足がバンドの外側でクローズ後にエントリー
- 反対のバンドが縮まったのを確認して利益確定
手法2:±1σを使ったトレード手法
それは、±1σを超えたタイミングで順張りのエントリーをし、±2σで決済をするという手法です。
例えば、下図のチャートであれば、(1)のポイントで+1σのボリンジャーバンドを下から上へ突き抜けた時点で買いでエントリーをし、+2σか+3σへ到達した時点で売りの決済をします。
(2)売りでエントリー
(3)買いでエントリー
(4)売りでエントリー
(5)買いでエントリー
鈴木拓也
チャート上でのボリンジャーバンドの見方と具体的な使い方
ここでよく誤解されるのが、ボリンジャーバンドの±2σは95.4%の確率で「価格の動きが反転する」と認識してしまうことです。
まれにこのような解説をしているネット記事を見かけますが、ここまで説明してきた通り標準偏差とはランダムにばらつく数値の収束率を表しているに過ぎません。
「収束」と「反転」では全く意味が違ってきますので ボリンジャーバンドは基本的に逆張りの指標にはなりません 。
ですので、「+2シグマにタッチしたから反転の合図だ!逆張りで売りエントリー!」というような短絡的なトレードだけはしないように気を付けましょう。
ボリンジャーバンドの基本パターン
実は、ボリンジャーバンドの形状変化には特定のパターンが存在し、そのパターンを利用してトレンド/レンジなど相場の環境認識をしたり、エントリー/利確のタイミングを判断することができます。
基本パターン | 説明 |
---|---|
スクイーズ | ボリンジャーバンドが収縮すること。相場がレンジ状態であることを示す。 |
エクスパンション | ボリンジャーバンドが拡大すること。相場のレンジ状態がブレイクしたことを示す。 |
バンドウォーク | ローソク足が±2σに張り付いて一方方向に価格が推移している状態のこと。トレンド発生を示す。 |
ボリンジャーバンドの活用法
それは、開発者ジョン・ボリンジャーも本人の著書の中で解説している通り 「ボリンジャーバンドは順張り指標である」 ということです。
ボリンジャーバンドを利用したトレンドフォロー
下図は上昇トレンドの発生直後、 トレンド2波の押し目を狙う局面 です。
そして、下髭を付けながらローソク足の実体がミドルラインの上側で停滞しはじめた③の辺りが 絶好のトレンドフォローの押し目買いポイント となります。
今回はバンドウォークが発生して上昇トレンドが再開しましたが、ローソク足が +2σの内側で明確に収束 するようであれば微益(または建値)で決済して逃げてしまっても良いですね。
合わせて確認していただきたいのが②の部分です。
よく見てみると下降のバンドウォークが形成されかけているのが分かると思います。
つまり、「ボリンジャーバンドの+2σタッチで逆張りエントリー」という手法では運よく反転してくれれば大底からごっそり利益を取れますが、下降のバンドウォークが発生してしまう可能性も高いので「バンド内ぎりぎりで収束しながら」一方的に逆行されてしまい大きな損失に繋がります。
ボリンジャーバンドを利用したトレンド転換
それでは、ボリンジャーバンドを利用して トレンド転換の始まりを狙う手法 についてご説明します。
①で囲った期間を観察すると、価格がボリンジャーバンドの+2σにタッチしてバンドウォーク発生に何度も挑戦しているのが分かります。
つまり、①の状態から②や③へと相場状況が変わり始めたあたりが、 上昇から下降へとトレンド転換が最も起こりやすい瞬間 となります。
MT4でのボリンジャーバンドの設定方法
それでは最後に、現在最も人気の高い取引プラットフォーム MT4 を利用したボリンジャーバンドの表示/設定方法とおすすめの設定値について解説します。
MT4の表示/設定方法とおすすめの設定値
次に、チャート上部のメニューにあるインディケーターリストのアイコンから「トレンド→Bollinger Bands」とクリックしていきます。
ちなみに、赤で囲った「期間」の設定値がミドルラインの期間設定であり、この場合は ミドルライン=20期間移動平均線 ということになります。
そして、上の設定のままOKをクリックするとこのように±2σとミドルラインのみのボリンジャーバンドが表示されます。 ボリンジャーバンドで最も重要なのは±2σ ですので、これだけで利用しているトレーダーも数多く存在します。
この時、レベル設定の部分は空欄になっているはずなので、追加をクリックして表示された枠内に 「0.5」と「-0.5」のレベル設定をそれぞれ追加 していきます。
(2×0.5=1、2×-0.ボリンジャーバンド徹底活用方法 5=-1なので±1シグマが表示される)
ちなみに、「1.5」と「-1.5」のレベル設定を追加すると ±3σの表示も可能 です。
ただ、僕の経験上ボリンジャーバンドの±3σは利用頻度が低い上に表示するとかえってチャートが複雑になりすぎてしまい、初心者にとってはデメリットになるので表示することはおすすめしていません。
ボリンジャーバンドは標準偏差の計算式が複雑なことから、意味を正しく理解しないまま使用しているトレーダーが多くいます。 ですが、誤った認識のままボリンジャーバンドを利用してもトレードで勝てるようにはなりません。 トモヒロ ボリンジャーバンドの計算式と考え方 そもそもボリンジャーバンドって何をするインジ.
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